エスケープキーで 音楽が止まります。

白い 山紫陽花の花の 画像です

蛍 さんのページ


昔より香り松茸味シメジ
などと言いつつシイタケを食う


赤茶黄に競う紅葉を見上げつつ
朽ちはてた木に寄り添うキノコ


食卓にやたらとキノコ多くなり
野菜の値上げ身をもって知る


色づいた雑木林のそこここに
茸取るらし踏みしだく音


御手洗の作法おしえる婆の指
神剣に見る腰パンの孫


夜深く望まぬ夢がカマ首を
もたげて聞くは蟋蟀の唄


ハミングで秋来れどもまだまだに
宇治金時のカキ氷食い


水道の水冷たくてやっと秋
しばし窓辺の虫の歌きく


深き夜せらぎとまごう歌人の
声染み入りて虫も静谷か


万葉の歌今もなお生きいきと
袖ふる人も月みる人も


子供らが遊び残した地面の輪
ケンケンパッケンケンパしてみる


真似するはテレビマンガの主人公
風呂敷首に駆け回るガキ


豆腐屋のラッパの音に鍋持って
駆け出してゆく少年時代


何処までも歩いて行った買い物も
今じゃぁネットで宅配を待つ


緞帳の幕をおろして白黒の
テレビはいつも押し入れのなか


お犬様行水なさる桶買いに
婆と孫とが出かけ行く夏


太陽が雲を蹴散らし夏が来た
されど町にはセミの声なく


蟷螂は胸をそらして同道と
赤いポストの天辺におり


雨やめど雲まだひくくかぶさりて
傘すぼめゆく人は早足


古都の路ふとみはるかす水色の
紫陽花寺は梅雨の只なか


風ぬけてふと立ち止まる鎌倉の
紫陽花寺は水色に染み


俄雨母のない子はあっさりと
顔たてたまま走り出してく


雨続きポストの口に巣をかけた
クモを見つけて蛙近づく


雨粒になれない程の雨粒を
干からびてゆく肺に満たして


真夏日にあわてふためきパタパタと
氷ひと文字のれん出す婆


キャラメルが溶けてゆく間の一時に
好きな歌声満たされて 雨


相輪に群れなす鳥の動きなく
間違う雪は白くなれずに


コロッケを経木で包み持たされた
買い物帰りの御預けの道


久々の駄菓子屋で食う心太
この味だけを残す故郷


味噌汁の味少しずつ変わってく
背中まるめてゆく母のよに


ふきのとう一番乗りで顔を出し
苦味のなかに春を呼び込む


つかのまの春だからこそ紫に
集まって咲く片栗の花


見上げてる名も知らぬ花そこここに
今風が来てまた春が来た


曼荼羅も釈迦も仏もサラソウジュ
悟りも経も風のなぐさみ


咲きそろい散り急ぎたる桜花
潔のよさと姿忘れず


暇してる鼻包みこむ梅の香に
春なんだなと深呼吸する


何処だろう寂しさ包む町並みが
風と時間にリンクしてゆく


命など微々たる物と諦めん
なお執着す今日の糧にも


包装紙折ってたたんでシワのばし
いつ使うやら袋へしまう


掌に包まれるよな昼さがり
彷徨う色に風がつまづく


眠らない雨に包まれ夜を聞く
貨物列車で旅をする夢


小さな手カスタネットを包み込み
叩いては右叩いては右


焼きイモを包む新聞さえ捨てぬ
母の贅沢いちばんの風呂


まだ寒い朝の風でもちょっとだけ
春の話題をのせた新聞


故郷の生まれた家はすでになく
写真の中の山そのままに


雪空につっ立っている太郎杉
新芽伸ばして春を告げてる


うつ向いて仲間はずれの帰り道
夕陽がそっと背中を押した


タタミの目一目々と伸びてゆく
冬陽をはらう雲の早さよ


春風に先駆けてゆけ大寒の
うづみ陽に咲く老梅の花


足元の石が団子に見えてきた
さぁ 帰ろうよかあちゃんの家


太陽が欠けたまんまで沈んでく
今食べているリンゴのように


あすの日があると思えば眠りつく
私の中の臆病が時間


昇りゆくありがたきかな元旦の
陽に手を合せ何を祈るや


芋版の染み込んでゆく年の暮れ
筆もつ指にみかんの香り


薄墨の思い染み込む懸想文
何処と知らぬ彼の人のもと


文書けばなつかしき友蘇り
年に一度の謹賀新年


水色のインクで書いたラブレター
送った人の名前も忘れ


久しぶり父に手紙をだしました
天国までの切手はいくら?


独りです。ぬくもりほしいこの背中
コーンスープの冷めてゆく部屋


呼びかける声にたまらず飛び出せば
胸ホカホカと石焼の芋


我がほほを打ちしその手のぬくもりに
導かれゆく高砂の席


恋人のつなぎ方したこの指に
君のぬくもり今も感じて


雨降ればぬくもりやけに身にしみて
慰める月雲のあちらに


樽漬の白菜皿にてんこ盛り
我黙々と箸を動かす


ぎこちない動作で揺れる女郎花
銀糸光って蜘蛛のたくらみ


静けさが岩に染み入るわけもなく
セミも鳴かずにあきが深まる


山近く空蒼くして清々し
風ひときわに髪乱しゆく


コオロギが長月に鳴く庭寒く
今年の夏の短さを知る


木蓮の匂い流れる近道を
小走りでゆく買い物帰り


山黒く風寥々とまとわれば
歩み留めて長き影みる


音消して鏡の如き五色沼
水無月抱いてゆるがずに丸


長鳴きの蝉ひとついて待ちわびん
夏の暑さとメスの声なし


短日のずんずんと行く路地裏に
種まるまると枯れたひまわり


気のぬけたサイダーのような蝉の声
残りわずかな夏休みゆく


抜け殻の横で初鳴きアブラゼミ
気ぜわしくゆく一度きり 夏


墓参り天気予報がドンピシャリ
うだる暑さにセミやかましく


気がつけば残る休みも昼を過ぎ
冷えたタタミをあちらこちらと


人気なき社務所囲みし森黒く
玉砂利の音葉もれ陽と和す


気をたてた頭上の鳥のやかましく
残るは我と御手洗の音


シャラシャラと線香花火の涼しくて
鬼灯色がそっと揺れだす


アサガオはちびりちびりと背伸びして
冷たさ残る風にさよなら


県知事で仕事してればいいものを
総理大臣?笑止千万


ポタポタと私の記憶落ちてゆく
夏の日なたのアイスのように


短冊と星たちばかりもてはやす
枯れゆく笹はぶつぶつ嘆く


ガラガラと福引の箱回しても
出てくるものはポケットティッシュ


久々に晴れ間のぞいた帰り道
レンゲ畑にランドセルの花


雨蛙肩に乗せてる道祖神
足を止めてく旅人もなし


幼い日かっくれんぼした細道が
跡形もなくセブンイレブン


我が心片々として楽しめば
森羅万象黙し語らず


蒼い月照らす屋台で赤鬼が
「道玄坂は どちらですか?」と


紅い月照らす飲み屋で青鬼が
「道頓堀は どちらですか?」と


聞かれても知らない道が多すぎて
「たぶんこちら!」と ウソを教えた


獣道分け入りて聞く春雷の
音に混ざりて雨音の来る


でこぼこなレタス噛む夜の食卓は
やっぱりフランスパンが似合うね


公園でひとり遊びをしてる子の
影によりそうタンポポの花


紙芝居お菓子かう子は前の列
始まり始まり黄金バット


いつの世も子の息災を親なれば
我が身にかえて南無観世音


空洞に民の願いどどめけど
聞く風情なし露座の大仏


菩提寺の参道に羽ちらばりて
夕焼けの枝に椋鳥の群れ


そこぬけの空で子供の声がした
雲てんてんと足跡みたい


じゃんけんのチョキの形でもめている
子らをしりめに猫 昼寝中


ハンバーグ存在感のある匂い
芋と人参コーン申し訳


思ひ出を瞬目の間に陽のもとへ
引きずり出した白薔薇の香


芝桜匂いほのかな山里は
桃 紫に 白をちりばめ


太陽のにおい染みこむ干草と
コラボしてゆく雲雀のどかに


真四角のキャラメルひとつほおばれば
甘い香りにほっぺまぁるまる


梅干のタネと差し歯がまだ寒き
床にころがりすっぱさ残る


エピタフに一桁の歳きざまれて
花新しく初彼岸ゆく


散りそびるモクセイの枝に灯りたる
名も知らぬ星ここにそこにと


「また来てね」母の面影知らぬ子は
沈む夕陽を笑顔でおくる


微笑みは耳掻き一杯だけでいい
それ以上でもそれ以下でなく


泣きもせず笑いもしない人の群れ
スクランブルの交差点行く


笑えない初春の街とぼとぼと
ダンボール持つ垢じみた人


冬庭で惰眠むさぼる番犬の
笑うがごとき口もとに蟻


冷や酒をふくみ笑いで飲み干せば
この一年が背中を向ける


縄文の杉幾千の風雪も
ただ凡々とその堂々と


泡沫の命としらず細雪
恩愛の夜を絹に染めゆく


キンキンと夜を凍らすこの雪は
諦めににた潔さかな


初雪のただ降りたるをうれしくて
早起きをせし犬を抱く我


三歳過ぎ五歳過ぎて七歳を
無事息災で宮参りかな


一片の銀杏はらりと肩に落ち
気づかぬ娘らは昼休中


月光のまぶたに残る妖しさは
うつろに笑う記憶の声か?


百年をかけ流れ来た地下の水
感動もなく喉ならし飲む


音もなく広がってゆく水溜り
灰白色の都会の路に


落ち葉たきかこみし子らは声ひそめ
座りて芋の焼かれるを待つ


チュンチュンと落穂あさりし雀らを
すこし斜めのカカシがしかと


焼畑のけむりが空をおしあげて
声ひとつなく座りこむ秋


今はただべにさすゆびのいとおしく
水面の月にたくす言葉


柿くらい鐘の音待てばわが庭の
秋もたけなわ鈴虫の鳴く


遅蝉のただひとついる梨の木に
有りの実うれて声甘やかに


戻る度まるくなってく母の背を
撫でているよな日暮しの声


あの山もあの川もあるふるさとへ
もうすることもない盆帰り


ふるさともクソもありせん油蝉
ただただ夏を夏として鳴く


せせらぎを黙らせている蝉しぐれ
だらだら坂のふるさとに夏


ふるさとを打ち据えている蝉しぐれ
せめて救えや野仏の慈悲


心太運ぶ箸とめふるさとの
駄菓子やできく遠雷の音


コツコツと白杖の音しみてゆく
知る人もない故郷の駅


星さえも年に一度は会うものを
木によじのぼるホモサピエンス


掬うたびかたち崩れる水面の
月がほしいかホモサピエンス


手をひかれふり向きながら祭りの音
水風船をパンパンと突く


にわか雨軒をさがして下駄の音
祭り太鼓とコラボしてゆく


出目金のシッポうごいて紙やぶれ
水冷たくて夏祭かな


夜空では星々たちの夏祭り
それを肴に冷酒をやる


人生の夜をむかえるエピタフに
ただ「微笑み」と記すひとあり


星おちて夜を静かに切り裂けば
海ホタルたち蒼くさざめく


あの時が幻なのか夢なのか
ただサラサラと砂時計落つ


葉脈を貫くほどの太陽に
「ああ夏なんだ」と納得する


底のない夜に開いた窓の下
無音で走る車が過ぎる


落日を飲みこんでゆく水平に
会釈もせずに夜がかぶさる


なんとなく昨日と同じ今日がいて
明日がそろそろやってくる夜


ものうげが持ち味だった今日がゆき
残る明日が三日月を食う


ひまわりが見あげるはずの青空は
まだこの雲に通せんぼされ


大人びてゆくその人を見送りて
ただなんとなくカラッポになる


木漏れ日が黄緑色の風となり
寂しがりやの空に溶けこむ


耳もとでクスッと笑う初夏の風
あの日のキスにそっくりでした


月の日は嫌々ながら目をあけて
けだるいしぐさつとめて無口


火の日には殺風景な通り道
わざとはしゃいで口笛吹いた


水の日にクレームついてしょんぼりと
いつものランチちょっと辛いか


木の日にはあれやこれやと忙しく
アフターカラオケ上司によいしょ


金の日に明日の準備そわそわと
時間確認天気予報は?


土の日が朝から雨でついてない
接待ゴルフハーフでやめた



日曜日起きず着替えずゴロゴロと
神も休むと屁理屈こねた


この坂を登り始めたあの時と
同じ香りのやさしい風が


しっとりとまとわりついた夜の風
黒髪つまむしぐさしてみる


こんな時きっと微笑むあの人を
溜息いろの風はやさしく


ラグリマを流した日々は遠ざかり
ただ白々と水平線に


サラサラと河のほとりのリンゴの木
落ちた赤い実沈んで浮いて


今日もまた昔昔のリンゴの木
いたずら蛇が赤い実おとす


雨あがり傘ふりまわし帰る子の
カバンに付いた 桜花ゆれ


重たげにしだれ桜の枝ゆらし
春をなごりと万葉の寺


この時をただこの風に寄り添いて
咲きそろいたし桜の如く


この門を一歩こえれば社会人
振り向かずゆけ教え子たちよ


着古した学生服の襟を止め
卒業証書もらう学び舎


二つめのボタンもらった先輩に
アドを聞いてる後輩の女子


同じ筒持って駆けてく子供らの
三年の想い恩師の胸に


別れ道その度減ってゆく友が
「また何処かで」とウソっぽい笑み


日曜日ペット洗いは父がする
犬のぶんだけバスタオルあり


雨しのぎ陽さえぎりて慈しむ
旅立った巣に親鳥の羽


居心地のよかった場所を追い出され
行くあてのない野良犬の夜


しがらみに背を向け建てたダンボール
鳩がとまって風見鶏する


火がついて短くなってゆくシッポ
まばたきもせず焼かれる魚


ウメの実はまだまだ硬くちいさくて
今年のゆめを中にやどさん


紅梅の色をうすめて雨雪は
なごり残して更衣の別れ


如月に花ほころびて白梅は
香うすけれど庭にたちおり


朝ご飯小梅コロコロ転がって
江戸むらさきのあちらに消えた


闇色を抱きてかなでるトレモロは
透きとおりつつ時を凍らせ


1時間くるまにのって行くべきか
我が町にないびっくりドンキー


ウサギ飛びできないくらい年ならば
飛馬にあげてそのノーベル賞


色彩のなかりし現世まじまじと
無作法なほど傍らにいる


ほほばると甘酸っぱくてピュアピュアな
みかんの色に風がそまった


祝い木の繭玉ゆらし幼子が
ほほ紅にドンド焼きの夜


柚子の皮ツメくいこみて冬至の湯
まどろむ時が壊されてゆく


涙ぐむほどの年ではないにしろ
ギターかかえてにじむトレモロ


ふと気づくギター弾いてたあの頃も
やっぱり独りだったんだよと


浴室にたゆたふている師走の湯
この一年の長く短く


虹鱒の色とけだした湖に
捨てられぬ日をそっと浮かべた


東雲の広がってゆくこの朝も
ただ消えてゆく師走であれば


ひとりっ子師走ちかづく公園で
鈴のついてるキーにぎりしめ


ひたすらに師走をめざし人はゆく
仮面のままでこの日その日を


午後の陽もすぐ弱弱とすぼみたる
ただ気忙しく師走は来たり


焚き火するけむりいぶすかたか枝に
柿の実ひとつ残されており


亡きひとの面影さがす灯明が
蓮華王院の仏にしみる


焔摩堂かぜつめたくて線香の
火うごめいて丈みしかけり


いにしえを語る弥勒のおわします
飛鳥の寺に鐘ひとつ鳴る


しがみつく釈迦の御手すらみえねども
であるであるの説法を聞く


灯明の絶えることなき観音は
闇にうかびて民を見下ろす


見上げれば紫煙たちゆくベランダに
赤い蛍火またたいており


この朝も白いくるまのドアをあけ
白衣のボタンとめながらのる


この道をただなんとなく歩いてる
その日その日をかみしめながら


昼寝する休みの午後のまどろみを
柿ひとかけととりかえる秋


この朝も見えずとあれど空にらみ
晴天なるや曇りなるやと


キラキラと蜘蛛作りたる魔方陣
虜となりて落ち葉ひとひら


庭土をいとたやすげに掘りおこし
冬ごもりする小さきものよ


秋まとうパッチワークの枝々を
木の実かかえてリスいそがしく


ゆく秋がクルミほおばるリスの目に
さよなら色の空をのこした


音もなく水面ゆらせしカエデ葉は
秋のなごりとともに沈むや


ジャンケンであいこばかりの帰り道
秋だったからさよならを言う


葦垣をすかして見れば間近しに
悠然たるはふるさとの山


もみじ葉が霧紅に染めゆきて
はぐれし鹿の声ぞ悲しき


帰りみち手をふる友の遠くあり
雀音時「さよならまたね」


草々が雀色時むかえると
あちらこちらの虫の音冴えて


月泣いて涙ポロポロ星月夜
探がしてみてよきっといるから


トゲ先で秋を貫く毬栗が
転がっている山辺の道


口中がアンコだらけでにぎり箸
ボタモチ落ちて彼岸も終わる


コロリンと風に転がるひとひらの
早き落ち葉が恨む秋ぐち


秋風のただ冷たくてみかも山
はぐれ蜻蛉 の空は悲しく


薄霧を裾にまといてみかも山
袖ふる君をそっと隠さん


蒼々と天どこまでも高くなり
秋凛然と今日を闊歩す


葉隠れに偲ぶ逢瀬の小夜千鳥
かすれゆく声月をゆらすや


今月のこんなところにマル印
チケット取れた千春?やったね!


ゆらゆらとタバコの煙おきざりに
彼は誰時に遠ざかるひと


産室に敷いた毛布を前足で
押さえたまんま子犬昼ねす


ゆらゆらと彼は誰時に遠ざかる
二度と来ぬひともう会えぬひと


松が枝に隠れしこの身てらすかや 
薄蒼白き立待ちの月


打ち水の夏をひきずるヒグラシが
群青色の空をつらぬく


たるみたる皮膚をつまんでこの夜も
蜜したたらせ梨を食らうや


チカチカと線香花火の遠くあり
煙に驚き油蝉鳴く


我が人生の終わりにのぞみあるとせば
海と青空風の昼寝か


バオバブの幹を蹴りつつしまうまは
今日の命を噛み締めはねる


あなたしかいないから付き合っています
動物園のしまうまの恋


ローソンで氷買いこみいそいそと
パジャマ姿で帰る人々


ひとりっ子遠慮しながら仲間入り
気がつきゃポツリ影ふみあそび


コードレーン涼しげに着たあのひとを
思い出してる海岸通り


線香と提灯ゆれる盆帰り
写真の中で叔母が迎える


鬼灯を指でつまんで揉みほぐし
種抜いている初盆の庭


もの干しに羽根やすめたる鬼ヤンマ
空の蒼さを複眼に染め


ほくそ笑むダフ屋あつまる甲子園
球界裏の売り逃げセーフ


赤い夏見上げて笑う道化師が
一人芝居をしてる街角


絹のいと紺屋のツボでたゆたふて
藍うえおしたへと染みゆかん


馬返しかすかに読める石のよこ
車返しとふだあたらしく


鉄さびて塔の九輪のひかりなく
名もなき鳥の飛び来たりおり


鐘楼の音ひとつふたつ届けども
杉深くしていずこなりやと


杉の枝をころがしてゆくせせらぎに
蛙くわえてやませみの立つ


始まりは愛しているよあいうえお
最後は無言言葉もないの


けずられてブランコのした水溜り
梅雨の晴れ間にさかさまの空


産土に人集まりて玉返し
抜かれし草にこの夏は来ぬ


頬袋いろんな文句詰め込んで
知らず知らずに胃の腑に落ちる


頬白の恋破れてもさえずりて
一筆啓上仕候


軒下の笹を見あげる襟足の
髪を揺らして七夕の風


夏の夜にうなじ隠して乱れ髪
今この時をただこの人と


あの時と同じ笑顔でささやいた
「やっぱり私海が好きだわ」


息を止めそっとつまんで揺らさずに
線香花火が静香に燃える


舞姫の素足燃やしたグラナダの
砂冷め遣らずバラ散らす夏


幸せも不幸も同じ星となり
ただ漆黒の空を翔ゆく


盆栽の一葉一葉を裏返し
手慰みするしわだらけの手


雨やみてグラデュエーションする木々の
色きわだたせ初夏の風来る


銭 銭と餓鬼の如くにかき集め
しこたま背負い冥土へむかう


両手からこぼれる程に金を持ち
一銭落ちたと血眼になり


気の早い家人がつるす風鈴の
短冊ゆらす雨霧の風


雨一つ二つ三つと数えてる
薄墨色の空を睨んで


どしゃぶりの雨に飛び出す君抱きて
振り返らせば唇の紅


夕食の野菜スープの味薄く
ただ黙々と口をうごかす


知識人有象無象に集まりて
けたくそ悪き政治論吐く


雨音が悲しみ色に謡いだす
待ち人の来ぬいつもの茶店


ガラス窓ポトリ転げた雨だれに
君の笑顔が映って消えた


ウロウロと自分探して彷徨うは
まだ諦めぬパンドラの箱


雨こんここんころりんと転がって
泣いたあの子が傘ふりまわす


雨の中田で餌をあさる白鷺の
姿遠くに蛙鳴きだす


葉の裏でじっとしている雨蛙
梅雨というのに干からびた午後


夜雷きて雨ひとしきり音たかく
友の話を遮る如く


玉梓の寄り集まりてほのぼのと
その日詠みたる文使い来る


ときおりに水飛ばし行く自動車に
雨降りたるを知る夜の部屋


後ろから目隠ししても振り向かぬ
そんなあなたのコロンの香り


水色のクリームソーダの泡粒が
君のストロにしがみついてる


寂しくてそっとつま先ぬらします
思い出だけが乾いてゆくよ


喜びも悲しみすらも友として
人生の細道あと幾年ぞ


希望的観測ばかり先走り
いつになったらトトが当たるの?


水流れ雲流れゆく草の上
ひねもす座りじっと見送る


なつかしき友の絵葉書なぞりつつ
文字の記憶を辿る春の夜


風もなくカサコソ動く新聞を
めくれば黒き蟻がチョコマカ


花散りて木枯れむとぞ実を結び
いやさかの芽の双葉うれしき


願わくば氷芝居の幕切れは
鎮魂の歌氷河に埋めん


川魚を食べさせている料理屋の
俎板に鯉のぼり動かず


我が家では娘ばかりの子供の日
小さき鯉を犬小屋に建て


涙ぐむ程不幸ではないけれど
涙忘れる幸せでもなし


スタジアム雨に塗れつつ応援歌
見知らぬ人と声を揃えて


鮎跳ねてしぶきかかりし山椿
川もに浮かぶ釣り人の笑み


休日の昼近く起き作りたる
インスタントの味噌汁の湯気


休みとて風吹くならば泳ぎだす
クタリクタリと三匹の鯉


そこここでゴールデンウィークまっさかり
我関せずに仕事するらん


見えぬならこんな目ン玉くりぬいて
見えたあの日の目玉を入れん


とぼとぼと歩き続けた人生の
休める場所が初めて見えた


指櫛で細さ感じる白髪を
今日の夕陽は金色に染め


振り向けば遣り残したる人生の
夢ヌケガラとなりて散らばる


円卓を囲みし家族団欒も
口は動けど声は聞こえず


サッカーのくじなどすぐに当ててやる
そう思いつつ残高が減り


薄暗き森にただよう風寒く
せらぎ抑えて鶯の鳴く


最初はさ そっと聞き耳たててから
夜中のトイレ行くのいやだな


道黒くなりて駆け込む雨宿り
すでに立つ人半歩譲らん


気まずさに視線はずして雨宿り
その人は右私は左


その人のすがしい香り溶け出でて
白紫陽花を虹色に染め


「お先に」と笑顔残したその人の
肩の向こうに雨あがりゆく


振り向いて「こちらなんかはいかがです」
ハウスマヌカンすすめる背広


見上げれば葉桜となる川の辺の
からし菜を抓む母がちいさく


寝そびれてふとなつかしく思い出す
あの日の君の無邪気な笑顔


退屈が居眠りしてる人生は
早寝早起き夢のまた夢


退屈を履きつぶしたら靴を買う
新しい靴それも退屈


退屈が逃げ出して行く昼下がり
やる事ありてする事はなし


なりたやな風も無いのにハラハラと
散る時を知るあの桜花


メダカ追いシジミ捕りしたなつかしき
ふるさとの川今も心に


花びらを風が誘って踊りだす
目元明るきあなたの前で


自分だけただ自分だけが知っている
この人生の裏も表も


雨粒と涙溶けあう窓ぎわで
振り返らない彼に手を振る


ガラスごし初めましてのご挨拶
「赤くないね」と成り立てのパパ


うつしおみせかるる如く過ぎ去らん
この営みも常ならむとぞ


泣く時は雨の降る日を選んでさ
傘を持たずに歩けばいいよ


音もなくまだ柔らかき樅の木の
新芽ゆらして春雨の降る


さりげなく迷いし我の手に添えて
ボタン押してる名も知らぬ人


花冷えにけなげな桜咲かむとぞ
動けぬ我のいかんとぞせん


傍にいるただそれだけの事なれど
昨日も今日もそして明日も


まどろめば夢より戻すカリカリと
コンピューターの音ここちよし


イ ロ ハ ニ と文字探せども浅学の
届かぬ背中掻く如くなり


手もだせず足も動かずただじっと
心闇夜に叫び飛び行く


注射する順番を待つ背中越し
人ごとながら顔しかめつつ


黒髪に薄紅の花かほり
心みだれし誰のためにぞ


赤裸々に我を叱りし人のあり
爪くいこみて言葉のみ謝す


ひとり酔いホロリホロホロ思い出す
過去の栄光今は凡夫と


生き急ぎ死に急ぎたる人生も
波に遊ばる木片の如


チョコレート貰うはいいがホワイトデー
3倍返し誰が決めたの


なにくれと心配をする友ありて
我が人生の宝とぞ思う


掃除機に吸い込まれたるゴキブリの
行き着く先はゴミパックの中


花抓みて伴につれ来た蜜蜂が
あわてて逃げてゆく春の庭


蜜蜂が転寝をする花布団
風もそこだけ避けて吹きゆく


立待の月で交わした約束を
臥待月に影を合わせて


靴底にへばりつきたるガムのかす
こすりつけてる階段のへり


愛犬とともに炬燵で横たわる
休みの夜のサザエさん見つ


愛犬が「コ」の字になりて眠る髭
そっと触ればピクンと揺れた


色あせし忘れかけてた花の瓶
紅き花折り思い出とせん


食べたくて頼んだパフェを店員は
迷うことなく子供の前に


相席で同じく頼む定食の
我がトンカツが少しでかくて


観音は千もの御手を伸ばせども
餓鬼畜生の世には足るまじ


ぶつかりて伴に倒れし自転車に
罵倒されてる白杖の人


雲ひくく花満るとも枝寒し
春告げ鳥のためらうは雨


餌をまけど空よりおりて来ぬ鳥の
見下ろす庭の隅に猫おり


家賃など「払うものか」と紫陽花で
蝸牛ツノだし威嚇するらん


煩悩が現世を食らう夢を見ん
夜咲く花の香り強くて


煙たつ家ふところに山野空
鳶鳴く声の遠く近くに


雪なぶり急かるる人のうつむきて
愛でられずとも寒椿咲く


画面上右へ逃げてくカーソルを
目で追えずとも文字は書けます


音だけを頼りに叩くキーボード
鳩時計さんちとお静かに


床に落ち転がり消えた鍼なのに
看護師さんはひょいと拾って


横にいるつもりで話かけたけど
かなり遠くで看護師の声


道端で骸となりし捨て犬の
幸い薄き日々を想ひて


花散りて積もれる雪に見えずとも
硬く小さき蕾やどして


恋慕する心をいかに綴らんと
にじむ涙で薄墨をする


土に落ち死に逝く鳥の濁りたる
目がいつまでも空を睨んで


笑む如く唄うが如く星たちは
もやすいのちを闇に放ち手


曲がる道数え間違え「ここはどこ?」
背筋氷て人を探さん


知っている人だと思い挨拶を
したらその人「あんた誰?」「あらっ?」


なにげなくキャラメルかじり奥歯から
詰め物ポロリまた歯医者さん


キャラメルに付いてたおまけ大切に
しまっておいた机の中に


トゲのある風がいつしかやんわりと
桜の花のツボミ起こして


サケの群れ川下からの追い風に
背ビレたてつつ鱗光らせ


牛乳の白さが似合う朝が来て
寝過ごしていた夜が逃げてく


今夜だけお願いだから逃げないで
とでも言ったか野良猫の恋


冬の夜はだしでそっと歩いてる
寂しさ抱いて寝る人思い


忘られぬ恋だからこそいつまでも
あなたの胸にそっとしまって


月ならばあすの夜空を待てばよし
思うあなたはいずこの空に


一人だとストーブ消している母の
丸木背中に添い寝する犬


うれしさに淡く色めく唇が
その恥じらいに吐息もらして


ブラインド揺らした風が冬の陽と
鬼ごっこしてる午後のテーブル


すり抜けた風を包んでカーテンが
丸くふくらみゆっくり動く


物貰い泣き泣き連れていかれてさ
眼帯されて帰る坂道


カチコチと時計かってに動くけど
思い出だけが冬眠してる


涙声噛み殺しつつうなずいて
「泣かないもん」てハンカチ探す


点滴の音なく落ちる音をきく
白きベットに横たわりつつ


恋なんて化石となりて忘却の
標本箱に飾られており


一人でね 片道キップ 買いました
お弁当ひとつ お土産ひとつ


抱きしめて指にからめた黒髪を
そっととかさん眠りつくまで


店先の手に入れがたき陶磁器に
「家に来るか?」と財布調べて


自然薯をおろす指先痒くなる
麦飯たけるまでのあいだに


酒飲みて忘れたいこと忘られず
何で飲むのか忘れ飲みつつ


さらさらと白い背中に書く手紙
「くすぐったいわ」とふり向くおまえ


我が胸に身をゆだねたる君なれば
嵐の海もいだきてゆかん


声のみがたに渡りたるうぐいすの
姿もとめて見上げる山路


初めての友を訪ねて独り旅
いつもの声に癒されし夜


唇が薄桃色に色づきて
彼をまつまにルージュで隠す


独り旅初めて出会う友達の
笑顔あふれて心ポカポカ


幼い日父に連れられ来た道を
今日は娘の手に引かれ行く






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