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白い 山紫陽花の花の 画像です

ちかえもん さんのページ



押入れの奥にしまへる文箱に
恋文眠る淡き想ひと


人肌のぬるき湯船に浮かびたる
吾子の出臍をつつきたるかな


窓越しに射し入る早き冬の日を
背中に浴びつつ読むる朝刊


雀らの群れて落穂を啄ばむる
朝の枯田の日溜りの中


両の手で掬うが如く抱き上げし
吾子の命の温かきかな


アヒルの子杭の間を泳いでる
1212の通信簿かな


秋の庭箏の調べも毛氈の
緋色に映えむ野点なるかな


他人は皆知らぬ顔して過ぎて行く
雑踏に消えてく僕の声


改札の電光表示の起動音
機械仕掛けの都市の寝覚むる


単調な靴音刻む舗装路に
ただひっそりと秋の葉の散る


階下より届く車の警笛の
途切れぬ部屋に安堵して寝ゆ


竹垣に風吹かば声さざめきて
風過ぎて竹声を留めず


路地裏に呼び止めらるる心地して
金木犀の咲く頃と知る


軒下の仕舞い忘れし風鈴の
ちりりと鳴りて秋雨の降る


アンテナはたくさん、た〜くさん立てたのに
届かないんだ。彼女の気持ち。


柿垂るる寺の卒塔婆に鵯の
喧しくも憐れなる声


かの胸に顔を埋めて心の音を
子守の歌にせにしかの秋


此の国の食料自給の割合の
心許無に秋の来たらむ


流れ行く車窓の外に変わらじの
瑞穂の国の金波銀波よ


移り行く社会の底に変わらじの
邦の奸吏の金よ利権よ


モンブランにパウダーシュガーのかかりたり
君のリボンは解かないのかい?


目を剥きて「食らはば食らへ」と凄みたる
今日の夕餉の鯵の尾頭


日晒しの畳にごろり寝転びて
祖父の遺影を逆さまに見る


竹の葉の小波が如く鳴り止まぬ
右急カーブの垣に苔生す


今はもう改札鋏の音も無き
無慈悲な石の駅舎に降りつ


土と日と緑の匂い密度濃き
胡瓜かじりし故郷の食卓


田を渡る風を大きく吸ひ込みて
里懐かしむ腹の底より


「おつきさまがついてくる!」という我に
母はただただ微笑みしかな


今日一日無事息災に暮れ往くを
思ひ出と為す日も来たらむや


富むるにも窮したるにも隔てなく
ただ平等に朝は来たれり


現夜に人の夢見は儚くも
主よ、人の望みの喜びを


ご無沙汰致しております。 近頃は
雲の写真を撮っております。


蜻蛉の脆き羽を持て複眼を
覗かば首を傾いだる哉


久方のデイト日和に候はば
e-Mail啓上仕り候


古の歌人宣ふ夏は夜
下つ弓張眺め覚ゆる


幾度の夏を迎ふや河原に
葬らる三葉虫の化石


心ばかりの清涼と歳時記の
涼しき季語を拾いたる夏


黒檀の如く真黒に日焼けせし
少年の日白き歯の笑ふ


はたらけどはたらけど猶わが生活
楽にならざりぢつとDS


「ドラえもん量産タイプ初回版
完売間近!!」の夢を見た朝


万緑や木漏れ日垂るるバス停の
名知らぬ君の肌透き通る


ガラス戸で隔てられたる外界は
天照神の真日の矢衾


逢瀬の夜明けて袖濡る朝露は
偲び尽きぬ織姫の涙


琴座のベガと鷲座のアルタイルを
横目で眺めデネブは独り


今日だけは人の恋路の叶ふるを
願ふてもみる天の河降る


いつもより少し早起きした朝の
素焼きの鉢の朝顔の咲く


夏空を積乱雲の呑み込みて
鉛が如く薄墨に染む


先達の汗血吸ひたるこの土に
誓ふるは何ぞ独立記念日


何処までも何処までも息切れるまで
ただ駆けたしとふと思ふたり


白刃の閃き空を両断す
刀が如き今日の雷かな


明け方の伐採林に分け入りて
蜩の時雨となるを聴く


吾が郷に梅雨来たりなば満ち溢る
河鹿の声も懐かしかりし


日向ひに光合成深々と
呼吸を途切らじ若葉なるかな


平伏して垂るるが侭の麦の穂の
芒に絡むる雨の重たき


PCで「たんか」と入力変換し
@が出てくるちょっとトリビア


つらつらと思ひしままを紡ぎなば
綾織りなせる三十一文字


傘の内二人寄り添ひ歩みしは
僕の一歩が君のニ歩半


あどけなく寝息をたてて居る君の
鼻をつまみて心満たせり


玉梓に三十一文字詠ふれば
言の葉の翠いよよ芳し


雨垂れのトタンを叩く音を聞かば
葱切る母を思ほゆるかな


赤蟻の這いずり廻る心地せし
足の痺れをそっと撫でむる


何となく前の彼女に似て見ゆる
台詞拙き女優の在りき


雨音を吸ひたる黒き蝙蝠の
柄の重きも手に親しむる


金太郎が龍を仕留むる如くなり
子等の手荒に鯉を仕舞へる


白々と明けていく空まっさらな
新しい朝さあ出かけよう


朝な朝な車窓に流る景観に
誘はれしは吾が心かな


しつとりと桐の葉露を吸ひ居れり
風も光りて今日は快晴


一様に皆顔険し長会議
意にも介せず欠伸なぞせむ


芽出度きに三十の枝張る杏樹の
四十重五十重と花果の繁らむ


雲去りて風清々し啄木忌
茅葺の家に鯉はためけり


母の日とせめて電話を掛けたれば
味気素っ気もなく安堵せむ


街の夜の雑踏かき消す驟雨の音
重き軽きを経て止みにけり


白茶けし壁に懸かるるスヰッチの
黒き手垢に時の移ろふ


ギヤマンの風鈴の音の軽やかに
夏の空気の街に溢るる


晴天にのたりのたりと弧を描く
五月の鯉の風と戯むる


空広く野山は深し風凪ぎて
皐月八日の鯉の横たふ


袖触れて微笑み会釈せし君に
天に昇らむ恋のし始めり


向ひ風吹き荒びける大空に
凛々しく泳ぐ鯉幟哉


尚武祈す父母が沸かせむ菖蒲湯
勝負に背かず育てと願ひ


長きこと恋の噂にのぼらなき
友より届く文もありけり


見渡せど鯉幟なき端午会
たなびく雲を鯉と見立てむ


幽かなる記憶の隅で微笑みぬ
乙女子のあり何処の君や


過ぎ去りし昭和を偲ぶ日とならば
今は昔と鑑むるかな


只独り湯殿で仰ぐ大梁の
湯気吸ひ居りてのしかかりたり


飽きもせではるばる集ふ秋葉原
春去りぬれど未だ萌へゆる


髪高く結ひて誇らし君が背に
声をかけむる勇気のあらば


まだ浅き眠りの淵をさまよひぬ
吾が目を覚ますチャイの芳し


古の王の居間にてありたらむ
白き玉座の静かなりにし


人の世は罪も救ひもありたれども
時は移ろふ何も問はずに


地図になき打ち捨てられし駅舎にて
物乞ふ子等の細き腕かな


触れられぬ力のありて乳飲み子の
一生を定む此の子も然り


花冷えに桜散りても残り香の
汝が黒髪の甘き心地す


喧騒と臭ひと埃熱と汗
ごった返す途バザールの午後


宵闇の帳の藍に包まれむ
白亜の墓牛追ふ童


生に充ち死に溢れたる母が河
人の来たりて人の逝かむや


慈悲深く且つ無慈悲たり水湛へ 母な
る河のただ流るるに


黒羽に一条の白染め抜くる鳥
よぎりて花祭りぞ来ぬ


花は咲き只散るのみの定めとぞ
思ふても尚寂しかりけり


真新し服も鞄も靴も皆
躊躇ふ背中そつと押しむる


見上ぐれば空の色さへ変えたまふ
四季ある国に生まれにし幸


手をあはせちさく祈りし乙女御の
心に神のあらまほしけれ


憂き事も悲しき事も歌に詠み
空に流るる雲と消へにし


さふ云へば今日は三月十四日
ホワイトデーぞ何もなさねど


自らが傷つくことの恐怖故
人の傷つくことを恐れむ


丸くなり和を尊ぶを良しとせむ
君子の真似を何時よりせしか


現世は己は己人は人
されども人の恋しかりけり


吾が歌は悲しき玩具と歌ひたる
歌人ありその心端を知る


朧なる春風なぜし段畑の
走り新芽の茶の滋味淡し


吾が成さむ事の険しき大なるを
歩み歩みて歩み続けむ


眼下をば眺め下ろせば其処此処に
吾の知らざる事の在りなむ


水果てし赤き大地に慈雨の降る
天地に充つ命の匂ひ


何故かうか惨めきはまり情けなく
己責むれど悔ゐは尽きまじ


かの人の名残香染むる緑帙の
啄木の書や幾年経たり


吾知らぬ国人文化の数多なる
吾が無知諭す巨大空港


吾妻の手間隙かけて煮含めた
芋の旨しを素直に褒めむ


故郷の今となりては遠き日の
汝が笑顔見て顔を伏せむる


何事かせむと思ひて立ち上がり
意気を込めにし戸を出ずるまで


東風に乗り耳に届きし杭打ちの
重き響きの懐かしからむ


焼けつきて張り裂けそうな我が胸よ
昨日飲み過ぎ今日食らい過ぎ


只独り起き居蠢く心地して
街を見下ろし息して眠る


春の日をひるがえしては水底に
波紋格子の幾何学たりし


芝生薙ぎ低く横切り燕
海原独り挑むが如く


春眠の未だ暁覚えずと
云ふは真と身をもて覚ゆ


磯城島の日本の四方に春至る
千歳の後も幸ひ賜へ


傍らにタンポポ咲きぬ 野に臥せて
春の日向の長閑と覚ゆ


立ち止まりふと何気なく思い出す
あの日あの時あの人の声


友垣と旨し肴と旨し酒
此れに優るる百薬ぞ無し


東風吹けど梅の香遠くなりにけり
吾身には来ぬ春な忘れぞ


どやどやと人乗り来てはどやどやと
人降り行かむ春の停車場


「コンタイナ?」 「メチャイペンコンイープンカッ」
慣れにし会話一年となり


木枯らしの途を譲りて野の山に
東風の吹きにし若芽萌えむる


迷ひ路に紛れ込みたる心地せり
蕎麦を食らふかうどんにせむか


息を吸ひ息を吐きにて日の暮れむ
何事もなし何事もなし


幸と云ふ一文字じつと見つめをり
其処に在りにし意味を問ひつつ


吾が胸に深く埋めし混沌の
鉛の如く暗き重さよ


気まずさに自転車をひく影ふたつ
別れの際に軽口ひとつ


ふうわりと白内掛けを纏ひては
春告げに来し里の木蓮


長閑たる午前十時と午後の二時
日の斜にして照るも温みぬ


この空は呆るる程に広がれど
仰ぎ見もせで行き交ふ人よ


世の中に横たはりたる諸々を
切り捨てむとぞ思いをれども







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